進学や就職を機会に、東京都で一人暮らしを始める人は多いでしょう。東京は国内だけでなく海外からもたくさんの人が集まり、どこへ行っても人で溢れている印象が強いと思います。流行の最先端で便利な土地という華やかなイメージの一方で、テレビのニュースでは都内の物騒な事件を耳にすることも……。「東京で一人暮らしなんて、危ないんじゃないの?」と家族から心配される人は多いようですね。
実際、一人暮らしをする人にとって東京とはどのような場所なのでしょうか。筆者の経験から、東京で一人暮らしをすることのメリットとデメリットをまとめてみました。
東京で一人暮らしをするメリット
抜群の便利さ
東京都では、電車やバスなどの交通機関の充実度は日本一。23区以外や神奈川・埼玉・千葉などの近隣の県にも1時間足らずで出かけることができます。通勤、通学には大変便利であることはもちろん、高速バスや新幹線を使った旅行にも気軽に行けます。
駅と駅との間隔が狭いため、図書館や役所など自治体の公共施設が駅から徒歩圏内にあるというのも嬉しいポイントです。
また、丸の内や渋谷、新宿などは流行の発信地となっています。テレビで話題になっているスポットや食べ物、イベントなどをすぐに楽しめることも東京に住む利点です。地方に比べると、コンビニやスーパーマーケット、飲食店の数が多いため、いつでも買い物をすることができます。東京で一人暮らしをするなら「食べ物を買う場所がない!」「深夜だから開いているお店がない!」と困ることはまずないでしょう。
友達を作りやすい
一人暮らしをする前に多くの人が悩むのが「知らない土地で友達ができるかな・・・・・・」という問題。もともと知り合いのいる場合は良いのですが、まったく縁もゆかりもない土地で一人暮らしをするということは、ある程度の孤独を覚悟する必要があります。もちろん、孤独を楽しむという選択肢もありますが。
一人暮らしの人が友達を作る場所として一般的なのは、学校や職場(バイト先)ではないでしょうか。しかし、学校や職場の仲間と必ずしも心地よい関係が作れるとも限りません。
東京では、オフ会や街コンなど初対面の人同士で集まって飲み会をするイベントが、SNSでの告知を軸に頻繁に開催されています。知らない人同士の飲み会に抵抗があり一歩踏み出せないという人には、早朝に開催されている「朝活」と呼ばれる集まりをおすすめします。ヨガやスキルアップセミナーなど早朝から自分磨きができる催しを通して、朝活仲間を作ってみませんか。都内の大きな公園やカフェ等で開催されることが多いので、インターネットで検索してみてください。
価値観や視野の幅が広がる
東京都は日本で最も人口密度が高い土地ですが、その中で純粋な東京都出身者はごく僅かだということが過去の調査で分かっています。それだけ他の地域からやってきた人が多いということです。
沖縄から北海道まで全国各地の出身者や、海外から仕事や留学のために来ている人、自営業の人、役者を目指している人など様々な立場とライフスタイルを持った人たちと出会うチャンスがあります。これは、東京という特殊な地域に住んでいる人の特権だと思います。
自分と違う生き方をしている人と交流することは、価値観や視野の幅を広げることにも繋がります。一人暮らしという自由の利くライフスタイルを活かし、積極的に人と関わっていくことをおすすめします。
働く場所や学校が多い
東京にたくさんの人が集まる理由の1つに、働く場所や学校が多いことが挙げられます。東京では、常に働き手を探している企業やお店、個人の経営者が星の数ほど存在すると言っても過言ではありません。日雇いの募集も多く、「明日すぐにお金が必要!」という切迫した状況の人でも仕事を見つけやすくなっています。
また、大学だけでなく、各種専門学校やスキルアップのためのスクールなども数多く存在します。「実家を出て働きながら新しい勉強をしたい」という向上心を持った人たちにも、東京は住みやすい場所のようです。
新しい仕事や学びたいことに手を伸ばしやすい環境で暮らすことは、人生をより良く変えていくことにも繋がります。
東京で一人暮らしをするデメリット
家賃が高い
東京で一人暮らしをする人をいちばん最初に悩ませるのが、家賃の問題です。たとえば、東京から電車で1時間ほど離れた千葉県の地域では、築10年のワンルーム(JRの駅徒歩6分)を4万8千円で1か月間借りることができます。一方、東京の世田谷区では、ほぼ同じ条件のワンルームだと1か月で7万円の家賃を支払う必要があります。あくまで一例ですが、地方に比べて東京の家賃相場は3~4万円ほど高いと言えます。
また、家賃と同じく駐車場代が高いことでも有名です。地方では月々3000円から、高くても7000円ほどで車一台分の駐車場を借りることができます。しかし東京となると1万円以内で月極め駐車場を借りることはほぼ不可能なようです。住む場所にもよりますが、23区内であれば1か月あたり1万5000円~2万5000円が駐車場代の相場になります。
そもそも都内では電車移動がメジャーであるため、駐車場付きで一人暮らし用の物件を探すこと自体が難しくなっています。
自然が少ない
自然豊かな地方から出てきた人の多くが「空気が汚い」「緑が少ない」「星が見えない」など、東京の自然の少なさに驚きます。人が住みやすい便利な場所であるということは、それだけ自然環境を奪ってしまっているということでもあります。しかし都内でも、八王子の方面や高尾山の周辺は緑豊かな土地が広がっています。休みの日に足を運んでみるとリフレッシュできるかもしれません。
また、水道水が美味しくないという声もよく聞きます。水が綺麗な地方から来た人にとっては、独特のカルキ臭が気になるようです。料理用の水だけミネラルウォーターを使用しているという人も多いですね。
治安の悪い地域がある
海外に比べれば日本はとても安全な国ですが、東京都内では場所によっては女性が一人で夜遅くに出歩かないほうが良いと言われている地域もあります。繁華街や、外国人労働者・低所得層の人々が住んでいる地域など、住む場所のカラーを引っ越す前に確認しておくことも重要です。
思いがけぬ犯罪や事件に巻き込まれないためにも、防犯の知識を備えておいたり、事前に不動産屋さんから地域の情報を仕入れておきましょう。また、物件を契約する前に自分の足でその地域の雰囲気を確かめに行くこともおすすめです。昼間は賑やかで明るい街でも、夜は街灯が少なく暗くて寂しい雰囲気になったり、家の周辺は人通りが少なかったり、間取り図だけ見ても分からない事実は意外と多いものです。
公共交通機関の難易度が高すぎる
地下鉄に私鉄、JR、ゆりかもめ、路線バス…etc東京にはこれでもか!と言うほどの交通機関が存在します。「メリット」の項目でも紹介した通り、それは便利さでもあります。しかし、山ほどある交通機関を使いこなすのには少々時間がかかります。
また、東京駅を始め、渋谷駅、新宿駅、池袋駅など主要駅は構造がかなり複雑。駅の出口が10か所以上存在する駅もあり、待ち合わせをしても待ち人に会えないというトラブルが続出しています。筆者は田舎から上京し、新宿駅を使いこなすまで2年かかりました。
現在は携帯のアプリを使い、乗り換え駅や駅の構造を調べることもできます。最初は難易度が高くてウンザリしてしまうかもしれませんが、何事も慣れです。複雑な交通機関を味方につければ、東京都内の移動も大変便利になります。
まとめ
どんな場所に住んでも、メリットとデメリットの両方があります。その地域の良いところ、悪いところをしっかりと見極めた上で自分のライフスタイルに合っているかどうかを確認することが大切ではないでしょうか。
デメリットの部分も、自分の工夫次第ではメリットに変わります。たくさんの人やモノ、新しい可能性で溢れる東京の良いところをうまく利用し、素敵なお一人様ライフを満喫したいものですね。
コメントを残す