はじめて一人暮らしを始める時には、準備している時でも楽しいものです。ですが、やっぱり気になるのは、必要な「お金」の話。今回は「一人暮らしの部屋探しに必要な費用」をすべて解説します。
1.借りる部屋の家賃は収入の3分の1まで
まず、部屋探しの前に、自分がどれくらいの家賃の部屋にすむべきなのか考えましょう。これをはっきりさせなければ、部屋探しに必要な費用もわかりません。一つ覚えておきたいのは、一人暮らしでは、家賃は最大でも一か月の収入の3分の1までが限度になるということです。これを超えてしまうと、衣食住に大きな影響を与えてしまいます。
社会人の方は、会社から家賃補助が出る場合もあります。家賃補助は通常、給与の手取り額の中に組み込まれていますので、手取り額の3分の1で、探すべき部屋の家賃を考えてみましょう。
もちろん、家賃を抑えることができれば、それに越したことはないので、自分のライフスタイルに合っていて、3分の1以下で済みそうなら、そちらを選びましょう。今回は、都市部での一人暮らしでの家賃相場として一般的な「5万円の物件を契約する場合」を想定して、解説していきます。
2.意外と馬鹿にできない交通・通信費
一人暮らしで住む部屋を探す場合、内見のために直接現地に行く必要があります。この内見のための交通費も意外とかかってしまいます。ポイントを絞って説明します。
借りる先の土地にある不動産仲介業者までの交通費
自分が住む地域を決めたら、その地域の不動産業者に仲介を依頼するのが一般的です。その時には、直接物件の見学に行きます。この時に、一度では決まらず何度も行くことになると、その都度、交通費と時間がかさんでいきます。
この内見を一度で終わらせるために、「近所にある同系列の不動産仲介業者で、見学したい先の物件情をもらっておく」のも一つの手です。同系列の不動産仲介業者では情報の共有がなされているので、例えば、名古屋にいながら東京の賃貸物件の詳しい情報を得ることも可能です。なるべく内見は一度で済むようにしましょう。そうすると内見にかかる交通費は1往復分で済みます。
賃貸契約に必要な書類と通信費
次に、部屋を借りる時に必要な書類の準備です。住民票、印鑑証明、源泉徴収票などが必要です。また、一人暮らしを始めるときには、賃貸契約者が未成年者や扶養家族(自分の収入だけで生活していない状態)の場合が多いです。
こういった時には、保証人の印鑑をもらった書類が必要になります。この中で申請にお金がかかるのは、住民票と印鑑証明書です。2枚とも居住地域の役所で申請し、即日発行してもらうことが可能です。それぞれ地域によって発行に必要な手数料は異なりますが、おおむね300円~400円の間です。
また、保証人の書類は、不動産仲介業者で契約を決めた際に発行されますので、一持ち帰り、保証人の印鑑をもらわなければなりません。その後、不動産仲介業者当てに、その書類を郵送することになります。これにはもちろん送料がかかります。
ただし、この保証人は、連帯保証会社に頼むこともできます。その説明は後で行います。まとめると、書類の申請や通信費に1500円ほどの費用が必要な可能性があります。
3.内見のときに必要な費用
内見に行き、借りる部屋を決めたら、契約作業に移ります。多くの方が、はじめて不動産仲介業者に行った際の内見で、借りる部屋を決めて、契約作業に移ることが多いと思います。この時の申し込みは、「入居申し込み」と呼ばれるものです。
ここで注意したいのは、この時にはまだ正式には契約が済んだ状態ではないということです。そのため、例えば「A不動産で入居申し込みをした後に、B不動産でもっといい物件があり、そちらに入居申し込みをする」といったことも可能です。不動産仲介業者ではこういったことをできる限り減らしたいので、入居申し込み時に仲介手数料の一部を求められる場合があります。
しかし、法的には「入居申し込み」時には、費用を要求することはできません。不動産仲介業者が費用として求めることができるのは、契約時の仲介手数料のみです。「A不動産屋さんで申し込みの費用を支払った後で、別の不動産屋さんで良い部屋を見つけて、そちらの契約をしたけど、A不動産屋さんの申し込み費用が戻ってこなかった…」といった問題もあります。
不動産仲介業者では「お部屋の仮押さえの費用として…」といったことを言われる可能性がありますが、まだ本契約ではない旨をしっかり伝えましょう。
「入居申し込み」にかかわるトラブルを防ぐために、はじめて不動産仲介業者に行くときには、必要な費用がないことを頭に入れておきましょう。
例外的に、「絶対にこの部屋にする」という物件が決まった場合には、入居申し込みの費用を払っても問題ありません。入居申し込みの費用は、不動産仲介業者で異なりますが、おおむね家賃の2割~5割ほどです。
この際に支払った入居申し込みの費用は、後に1か月分の家賃の中に組み込まれて利用されますので、実質、「家賃の数割を前払いした」という形になります。どうしても押さえておきたい部屋がある場合には考慮に入れましょう。
4.契約のときに必要な費用
契約のとき必要な費用の種類と額は、以下のようになります。
- 初月の家賃:家賃の1カ月分
- 仲介手数料:おおむね家賃の1カ月分+消費税
- 火災保険料:おおむね2万円ほど(2年契約)
- 敷金:無料~家賃の2カ月分ほど
- 礼金:無料~家賃の2か月分ほど
- 清掃、消毒、害虫駆除費用:1万円~2万円ほど
- 連帯保証会社に家賃保証を頼む場合の費用(保証人をつけない場合):家賃の半分ほど
家賃5万円の部屋を借りる際に、これらの費用が最大かかったとすると、35万円ほどになります。家賃5万円で最大限に部屋を選びたい場合は、その7倍の費用と書類の申請費(1500円ほど)、交通費がかかることになります。
これらの費用は、賃貸契約を済ませる前に銀行振り込みなどで支払う必要があります。
まとめ
一人暮らしを始める時には、何かとお金がかかります。
特に、部屋探しでは、こだわりたい部分もあるし、費用を抑えたい気持ちもあると思います。せっかくの一人暮らしを、最大限に楽しむために、絶対にこだわりたいポイントと考えている費用がどれくらいかを不動産仲介業者に、しっかりと伝えましょう。その上で、焦らずに検討することが大切です。
自分が本当に気に入った部屋を見つけることができれば、そのあとの一人暮らしもきっと良いものになります。
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